5分でわかる海王星!特徴、衛星、水はあるのかなどわかりやすく解説!

更新:2021.11.13

「水・金・地・火・木・土・天・海」と言うように、海王星は太陽系ではもっとも遠い8番目にある惑星です。発見されたのは1846年。目視ではなく、ひとつ内側にある天王星の軌道が少しずつ変化していることから、軌道に影響を与える未知の天体があるという仮説によって発見されました。8等星のため、高倍率の望遠鏡でやっと見える青い惑星について、多きさ、重力、温度、地球との距離などの特徴や、構造、惑星「トリトン」について、水や生物の有無などをわかりやすく解説していきます。あわせて、宇宙への興味が広がるおすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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海王星の特徴は?地球との距離、重力、強風など

 

まず太陽系には、「地球型惑星」「木星型惑星」「天王星型惑星」という3つの惑星の型があります。

「地球型惑星」は「内惑星」ともいい、地球のように岩石や金属でできている惑星で、太陽に1番近い水星から、金星・地球・火星までが該当します。特徴は、地面があり、惑星の密度が比較的高いこと。大きさも火星より遠くにある他の惑星に比べ、小さいです。

火星よりも太陽から遠くにある惑星を「外惑星」と呼びます。そのなかの木星・土星を「木星型惑星」といい、はひときわ大きく、太陽と同じように水素やヘリウムなどのガスでできています。

木星の直径は地球の11倍以上、質量は10倍以上のサイズ。地球をゴルフボールにたとえると、バランスボールほどの大きさがあるのです。

ガスが主体なので、大きさの割に軽いことも特徴。惑星の周りにはリングがあり、多くの衛星を有しています。
 

「天王星型惑星」はアンモニアを含む氷や水でできていて、天王星・海王星が該当します。大きさは地球の4倍ほどで、地球がゴルフボールだとすると、バレーボールくらいのサイズ。やはり惑星の周りにはリングがあります。

海王星の半径は2万4622kmで、地球のおよそ4倍。質量は地球を1とした場合、17倍近くあります。

地球からの距離は、43億5000万km。太陽から地球までの距離は約1億5000万kmなので、海王星は太陽から約45億kmも離れているのです。太陽の光が到達するのにおよそ4時間もかかります。

また1989年に無人宇宙探査機ボイジャー2号が海王星に接近しましたが、これは打ち上げから4388日後のことでした。およそ12年もの月日がかかっていることからも、とんでもなく遠い場所にあることがわかるでしょう。

公転周期は165年。一日の自転時間は、約16時間です。重力は11.0m/sで、地球の9.807 m/sと比べ約1.15倍とほぼ同じになっています。

14個の衛星を有していて、リングは比較的明るいものと薄いものが2本ずつの、計4本が確認されています。上空では常に時速2000kmもの強風が吹き荒れているのも特徴です。

また自転軸が公転面に対して傾いているので、地球と同様に季節の変化があります。しかし公転周期はおよそ165年ほどもあるので、1年を4つに分けるとすると、ひとつの季節が40年以上も続くことになるのです。

海王星の構造と温度

 

海王星は青く輝き、その神秘的な美しさから惑星のなかでも人気があります。ではその構造はどうなっているのでしょうか。

中心から核、マントル層と重なり、その周りを大気圏が取り巻いています。大気の8割型は水素で、残りがヘリウム、メタン、アンモニアです。

マントルは主に水分子(H2O)が水素と酸素のイオンに分解された「イオン水」の層でできています。「水とアンモニアの海」とも呼ばれ、核に近づくほど温度が高く、4700度の超高温の液体。しかし惑星科学の分野では、高温で高密度の液体であっても、「氷」と呼んでいます。マントルの質量だけで地球約15個分もあるのです。

核は鉄・ニッケル・ケイ酸塩でできていて、温度は5000度以上あります。

海王星の地表の温度は-200度以下、その一方で中心は6700度ほどです。内部に放射性元素が崩壊する際に発生する熱源があり、太陽から受ける熱量の2倍ほどを自ら作っていると考えられています。

青く見える海王星に水はある?

 

アンモニアやメタンが融け込んだ「水」のマントルを有していますが、これは高温・高圧で、私たちが日ごろ飲んでいる水や海水などと同じ姿をしているわけではありません。

先述したとおり地表温度はマイナス200度以下なので、水分はもちろんのこと、一緒に含まれているメタンやアンモニアも氷になっています。

海王星が青く見えるのは、水があるからではなく、表層のガスの中にメタンが含まれているためです。メタンには赤い色を吸収し、青い色を散乱する性質があります。メタンを多く有している海王星に太陽光が当たると、赤い色は吸収されて青い色のみが跳ね返されるので、青く見えるというわけなのです。

海王星の衛星「トリトン」とは

 

海王星の第1衛星である「トリトン」は、直径が2700km以上もある巨大なもの。構成している物質は水が4分の1を占めていて、残りは窒素化合物・メタン・岩石です。

海王星が有している14の衛星のなかでもっとも大きく、約35万km離れた軌道を回っています。

少しピンクがかった色をしており、地表温度は-235度の酷寒。大気は微量のメタンでできています。気圧は0.01ヘクトパスカルしかなく、地球のおよそ7万分の1です。氷の火山が存在していることがわかっており、-200度に近い液体窒素や液体メタンが吹き出しています。

一般的な衛星の軌道と逆に公転している珍しい特徴があり、そのためいずれは公転する力が弱まって軌道が低くなり、海王星の重力に引っ張られて墜落するか、崩壊してリングになると考えられているのです。

海王星に生物がいる可能性。「トリトン」には?

 

海王星には氷としての水が存在するため、生物がいる可能性も考えられます。しかし時速2000kmを超える強風が吹き、そのすぐ下には高濃度のタンやアンモニアが含まれたマントルがあるので、このような過酷な条件下に地球と同じような生命体はいないと推測できるでしょう。

地中には液体の水があるのではないかといわれていて、もしかしたらかつては生物も存在していたかもしれません。

ただこちらもかなりの低温で窒素やメタンが多く、海王星の強力な磁気の影響も受けているため、仮に生物がいても地球上のものとは異なる形をしていると考えられます。

「もしも」の可能性で宇宙を楽しむ

著者
渡辺 勝巳
出版日
2013-11-28

 

もしも宇宙空間を高速で移動することができたら……もしも強風にも耐えられる宇宙船があったら……海王星に着陸できるかもしれません。

そこにはどのような景色が広がっているのでしょうか。

「もしも宇宙旅行が可能になったら、太陽系の惑星たちがどういう姿か訪ねてみたい。『空想』とはいえ、解説はしっかりとした科学的根拠にもとづいているのが特徴です。『空想』という設定だからこそ、宇宙の魅力や不思議がよくわかるようになっています。」(『宇宙の歩き方』より引用)

一握りの宇宙飛行士を除き、まだまだ遠い場所に感じる宇宙。さまざまな「もしも」という仮説に、科学的根拠にもとづきしっかり応えてくれる一冊です。

海王星など惑星の神秘を探る

著者
["室井 恭子", "水谷 有宏"]
出版日
2017-08-08

 

太陽は、自ら核融合して熱を放出している「恒星」で、恒星の周りをまわっている星を「惑星」といいます。

宇宙空間のどこかに、太陽と同じような恒星が存在し、地球のように水のある惑星があったとしたら、そこには生物が存在しているかもしれません。

「惑星とは、太陽のように自分から光を放つ天体の周りを回る星のことです。では、なぜ『惑う星』と書くのか? 文字で書くと難しそうな疑問を、かわいいイラストとわかりやすい文章で解説します。本書は子どもから大人まで楽しめる入門書です。」(『惑星のきほん: 宇宙人は見つかる? 太陽系の星たちから探る宇宙のふしぎ』より引用)

海王星や、その衛星のトリトンには生物がいる可能性は低いですが、木星の衛星エウロパには生物が存在する可能性が高いとされています。本書で太陽系について学ぶことは、広大な宇宙空間に興味をもつきっかけになるでしょう。
 

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