川瀬七緒のおすすめ書籍4選!デザイナーとしても活躍する推理小説家!

更新:2021.11.13

推理小説家として活動する一方、子供服のデザイナーとしても活躍している川瀬七緒。緻密なミステリー小説を得意とし、江戸川乱歩賞も受賞するなど高い評価を得ています。今回はそんな川瀬作品のなかからおすすめの4冊をご紹介します。

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川瀬七緒とは

 

1970年に福島県で生まれた川瀬。小説家でありながら、子供服のフリーデザイナーとしても活躍する異例の作家です。

服飾学校のデザイン科を卒業し、1991年に服飾デザイン会社で子供服のデザイナーとなった後、フリーに転身。執筆活動は2007年から始めました。

推理小説を得意とし、執筆開始からわずか3年後の2010年には『静寂モラトリアム』が鮎川哲也賞の、『ヘヴン・ノウズ』が江戸川乱歩賞の最終候補に。翌2011年に『よろずのことに気をつけよ』で江戸川乱歩賞を受賞しました。

登場するキャラクターも魅力的な人物が多く、幅広い世代から指示を得ています。

川瀬七緒のノンミステリー作品

まずご紹介するのは、ノンミステリー作品。デザイナーとしての川瀬の知識を存分にいかした一冊です。

個性的な登場人物がスピード感のある展開で活躍し、一気読み間違いなしの一冊になっています。

著者
川瀬 七緒
出版日
2017-12-08

本作の主人公は、ポルノ漫画家を母に持つアクアマリンという男子高校生。福島県の片田舎に住んでいます。母の職業にコンプレックスを抱いており、素直に自分の夢を持つことができず半ば将来を諦めていました。

ある日、町の古い仕立て屋「テーラー伊三郎」のショーウィンドウに、女性用下着である「コルセット」が飾られているのを見かけます。その美しさに心を動かされたアクアマリンは、店主とともにある壮大な計画をたてるのです……。

なんでもない田舎の町に、突如コルセットが現れるインパクト。しかもそれを飾っているのが頑固な仕立て屋の老人店主なので、町内は騒然です。しかしアクアマリンは、母のアシスタントをしていたことから、コルセットに関する知識も豊富。その経験をいかし、老人店主とともにコルセットを使って「革命」という名の町おこしをいていきます。

田舎町だけあってか、店主をはじめ登場するのは老人ばかり。一癖も二癖もある彼らと10代の少年が協力をしていくさまは面白く、また展開もスピード感にあふれているため一気に読むことができるでしょう。爽快感抜群の一冊です。
 

川瀬七緒の代表作!虫の知らせで難事件解決!?

川瀬の警察ミステリーシリーズ。犯行現場にいた虫を調べることで捜査を進める「法医昆虫学者」が、迷宮入り必至の難事件に立ち向かっていきます。
 

著者
川瀬 七緒
出版日
2015-08-12

ある日、トランクルームから女性の腐乱死体が発見されます。蠅とウジが発生していたことから、法医昆虫学者の赤堀涼子が捜査に起用されました。

彼女は無視の繁殖状況などから、当初は損傷が激しくわからなかった死亡推定日時を割り出し、殺害状況なども予測していきます。虫に関することはかなり緻密に描かれているため、苦手な方はご注意を。捜査方法自体が奇想天外で予想がつかず、彼らの生態が思わぬところから真相に繋がっていくさまは興味深く読むことができるでしょう。

事件を担当している刑事とのやりとりもコミカルで、彼らと強力して事件を解決していく疾走感はたまりません。本作はシリーズ化しているので、ぜひ他の作品も読んでみてください。
 

謎の言葉に民俗学が迫る

本作の舞台は、認知症のグループホーム。民俗学を研究している羽野千夏が、「消えない記憶」について探るために訪れるのですが、入所者は会話が成り立たない人たちばかり……。

しかしひとりの女性が放ったある言葉が気にかかり、その謎を探っていきます。

著者
川瀬 七緒
出版日
2017-05-17

羽野千夏が訪れたグループホームは、他の施設から追い出された者が集まる曲者揃いの場所でした。なかでもルリ子という女性は、毎日夕方になると施設から脱走をはかります。しかし千夏は、彼女が発しや「おろんくち」という言葉が妙に引っ掛かり、その謎を解き明かしていくのです。

千夏の相棒になったのは、インターネットで知り合った大地という少年。進学校に通っていた頭のキレる子ですが、親からかけられる圧力に委縮して育ったため自分を出すことができず、不登校になって中退しています。

この2人が「おろんくち」というキーワードをもとに、老人のなかから消えてしまったと思われる記憶を探り、やがて話は思わぬ展開に進んでいくのです。絶妙な深層心理ミステリーを楽しむことができるでしょう。

ちなみに千夏は、字が汚く、食べ方も汚く、おまけにデブというなかなかのキャラクター。そんな彼女がグループホームにいる老人たちとくり広げる会話劇にも注目してみてください。
 

川瀬七緒のデビュー作

江戸川乱歩賞を受賞した作品で、川瀬のデビュー作でもあります。

とある殺人事件の犯行方法は、「呪い」……⁉

著者
川瀬 七緒
出版日
2013-08-09

ある日、文化人類学を研究している仲澤のもとへ、ひとりの少女がやってきます。彼女の祖父が変死体として見つかったのですが、なんと家からは「呪いの札」が見つかったということでした。

その「呪いの札」が本物だということを見抜いた仲澤は、なぜ祖父が呪いをかけられたのか、誰が呪いろかけたのか、そしてなぜ呪いをかけられていたのに「直接」殺されたのか、謎を説いていきます。

物語は地方の風習などの民俗学と絡みながら進んでいきます。手がかりから仮設を立て、それを検証することで真相に迫るさまは読みごたえがあるでしょう。「呪い」の正体は一体なんなのでしょうか。
 

川瀬七緒の作品は、どれも本格ミステリーらしい緻密さと、テンポのいい軽快な文体が特長です。そのミスマッチさが魅力となりさまざまな世代から広く支持を受けています。個性の強いキャラクターたちとともに、数々の難事件に立ち向かってみませんか?気になった方はぜひ実際に読んでみてください。

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