東大ブランド全開の怪談話!『東大怪談』おすすめポイント5つ

更新:2022.7.25

東大出身者11名による怪談話をまとめた『東大怪談』。著者は、最新作『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪ー』も絶賛公開中の映画監督、豊島圭介です。怪談イベントなどでも話題の『東大怪談』を可能な範囲のネタバレを含みながら紹介します。

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東大卒の映画監督が東大生の実話怪談に迫る!『東大怪談』

日本には古来より民話や伝説、神話などから多くの怖い話つまり怪談が存在してきました。現代においても、怪異や都市伝説、パラレルワールド、UFOや宇宙人といったさまざまなジャンルにおいて、常に一定のファンを獲得している怪談。昨今は、怪談師が開催する怪談イベントや動画配信サイトでの怪談にまつわる動画などが根強い人気を誇っています。

そんな怪談を日本最高峰の頭脳を持った東大生が語ったらどうなるのか。そんなところから始まったのが、今回紹介する『東大怪談』です。

11人の東大出身者が語る実際に体験した怖い話を映画監督の豊島圭介が1冊の本にまとめました。豊島監督は自身も東大出身者。

2020年公開の『三島由紀夫vs東大全共闘 ~50年目の真実~』でも東大出身者として監督を務めています。また監督デビュー作となった「怪談新耳袋」シリーズや最新作「妖怪シェアハウス」シリーズなど多くのホラー作品も手掛けています。

「東大×怪談」どちらにも精通している豊島圭介監督。本書の著者において、これほどの適任者はいません。

そんな『東大怪談』は、発売されるや否やSNS等でその面白さが拡散され、アマゾンの本・書籍部門のSF・ホラー・ファンタジーにて初登場ベストセラー1位を獲得しました。オカルト好きな人たちからも絶賛の嵐です。

この記事では、今最も熱い怪談集『東大怪談』を紹介。怪談好きな人もあまり知らないという人もきっと読みたくなる『東大怪談』の魅力に迫ります。

著者
豊島圭介
出版日

筆者・豊島圭介と怪談

豊島監督といえば、監督デビュー作がドラマ「怪談新耳袋」シリーズというホラー作品です。その後も「怪奇大家族」シリーズ、「妖怪シェアハウス」シリーズなどといったオカルト作品なども監督しています。

そんな豊島監督に最初に『現代百物語 新耳袋』という本を紹介したのは、監督仲間の清水崇監督だったそう。清水、豊島両監督によるオムニバス映画「幽霊VS宇宙人」シリーズも一緒に製作しました。豊島監督は宇宙人パートを担当しています。

こうしてホラー、オカルト作品にどっぷりハマっていた豊島監督ですが、最初の監督作「怪談新耳袋」シリーズでの経験が本書へ生かされているとあとがきにも書いています。その原作にあたる『現代百物語 新耳袋』では、怪異を引き立たせるため、語り手ではなく現象そのものに焦点を当てていました。しかし、映像化するにあたり豊島監督が行った作業は、登場人物に焦点を当て、キャラクターを浮かび上がらせるいう真逆の方法でした。

映像作品では俳優が演じていくので、人物を軸に構成していくわけです。この時の方法を『東京怪談』でも応用。怪異を語り手の個性に合わせてまとめています。今回は特に語り手の人生そのものと関わっていることが多く、彼らを軸に構築していく必要があったようです。

もしかしたら、『現代百物語 新耳袋』との出会いがなければ本書を担当することもなかったかもしれませんね。

著者
["木原 浩勝", "中山 市朗"]
出版日

【おすすめポイント1】遭遇した怪談話の秀逸さと見事な分析

『東大怪談』では、東大出身者で、さまざまな職業の11名がそれぞれ実際に体験した怖い話を語っています。その内容も多種多様です。

病院で怪異と遭遇した人、件(くだん)という牛の頭をした人間を見た人、オカルト体験を多数してきた人、精霊に気に入れられた人などなど。よくぞここまで変わった経験をしてきた人がいたものだという驚きと同時に、怖い出来事に遭遇した際の思考が、東大生だけあって冷静という印象を受けます。

さらに、東大生といえば、これらの不可解な現象を科学的根拠で証明するようなイメージを持ちますが、実際はそういうわけでもないところが興味深いところ。必ずしも物理や科学的な解釈で測ろうとしているわけでもないのです。彼らは、非常に冷静に「科学的に証明できないこともある」と考えているようです。

自身が体験した心霊現象を客観的に捉え、怪異をとても自然に受け入れています。そんなところが本書にもよく現れており、『東大怪談』という書籍の面白さのひとつとなっています。

【おすすめポイント2】怪談話だけでない人物ルポとしての面白さ

『東大怪談』は、豊島監督が絶賛する『現代百物語 新耳袋』と同じ実話怪談集です。『現代百物語 新耳袋』では、怪談をより際立たせるために、語り手には寄らない方法で書き上げられています。しかし、『東大怪談』は真逆の方法に。

それは、豊島監督が『現代百物語 新耳袋』を原作とする「怪談新耳袋」シリーズを監督した時と同じやり方だそうです。今回の怪談では、「東大」という縛りを設けることで、怪談の面白さはさることながら、それを語る人物の人生にまで触れるこことなりました。語り手の育った環境や生き方と怪談が切っても切り離せないのです。

怪談を語る上で、語り手の個性もとても重要であると考えられているのが『東大怪談』。ただ怪談を紹介するだけなく、人物に焦点を当てることで、新感覚の怖さや面白さを追求しています。だからこそ、人気を博しているのでしょうね。

【おすすめポイント3】東大生が東大生にインタビュー

 

『東大怪談』の筆者、映画監督の豊島圭介監督は、2020年に公開した、『三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~』を監督した人物でもあります。この作品は、1969年に東京大学駒場キャンパスで行われた三島由紀夫と東大全共闘との伝説の討論会の記録と三島由紀夫の生き方を追ったドキュメントリー映画です。

『三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~』では、かつての全共闘のメンバーへのインタビューにも果敢に挑んだ豊島監督。それには、監督自身もまた東大の出身者であるということが大きな役割を果たしています。

この『東大怪談』にも同じことがいえます。豊島監督に心を開き、怪談という体験だけなく自分自身をも語ってくれるのは、聞き手が語り手と同じ東大出身者だからなのでしょう。

東大生が東大生をインタビューするということが、この『東大怪談』を東大怪談たらしめる要因となっているようです。

【おすすめポイント4】心霊体験と偏差値の関係

『東大怪談』では、東大ポイントとアンケートという独自の構成がなされています。東大ポイントでは、筆者のコメントを掲載。各エピソードで描き切れなかった語り手の「東大っぷり」を披露しています。

さらに語り手へのアンケートも掲載。本書のもうひとつのテーマである語り手自身の持つ独特な「自意識」をあぶり出すということが目的です。さらに、心霊体験と偏差値との密接な関係についても言及しています。これこそが、本書の醍醐味といったところでしょうか。

心霊体験が偏差値に、偏差値が心霊体験に影響していると考えている語り手が多数いるという結果となっています。

また、本企画の仕掛け人であるオカルトサイト「TOCANA」の元編集長・角由紀子の言葉を借りていえば、心霊体験などのオカルト現象を信じている人には、政治家や科学者に多いとのこと。高い偏差値を持つ東大生やアカデミックな人たちは、「実際に科学的に証明しようとしてみてもやはり証明できない」といった確固たる根拠があった上で、オカルト現象を信じているわけです。

これらの事柄を考えて企画された『東大怪談』が面白くないわけがありませんよね。

【おすすめポイント5】読み物としての面白さ

『東大怪談』の魅力のひとつに、読み物としても非常に面白い、読みやすいということがあります。

筆者の豊島圭介の本職は映画やドラマの監督です。たとえ、今回のように別の誰かが体験した怪談話をまとめることが初めてだったにしろ、普段から脚本執筆もしています。わかりやすく読みやすい文章を書くことは得意なのでしょう。

また語り手から話を聞きだすという点においても、その人自身全てを受け止めるといった度量の大きさも感じられます。もちろん語り手の話の構成も上手さもあるでしょうが、その上手さや面白さをうまく引き出し、『東大怪談』としてまとめる作業はかなり大変なことと想像できます。

だからこそ、本書では、数々のエンターテインメント作品を生み出してきた映画監督としての力量が存分に発揮されているのです。文章の上手さと演出力が重なり合うことで、『東大怪談』を魅力ある書籍に昇華しています。

まとめ

映画監督が生み出す異色の怪談集『東大怪談』を紹介しました。この面白さに、第2弾を希望する声もちらほら聞こえています。本書巻末には、随時募集の告知も掲載。応募如何によっては、第2弾の実現も夢ではないかもしれませんね。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

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